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商い3つのゴールデンルールとは 【商業部会セミナー】

研修会・セミナー経営改善・経営革新販路開拓支援国内の販路開拓海外の販路開拓

 国内外1,500社以上の企業が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する、オラクルひと・しくみ研究所代表の小阪裕司氏を講師に迎え、三条商工会議所商業部会主催の
マーケティングセミナーが6月9日に開かれ、約100人が参集した。

 
小阪氏は、商品やサービスの価値をお客様に伝え、正当な対価で売る「価値創造」、時代が変化しても確実にリピートするお客様をつかむ「ストック型ビジネス」、自社を信頼し絆を持つお客様を
増やす「顧客化」が「商い3つのゴールデンルール」と話した。ワクワク系マーケティング実践会の参加企業は、情報学の博士でもある小阪氏が提唱する「人の心と行動に基づく普遍的原理」を実践。成功事例がレポートして集積
されている。小阪氏は、個人スーパー、床材メーカー、紙問屋など豊富な事例を紹介しながら、「お客様は価値が分からなくても買わなければ生きていけないものを買う場合、一番安いものを選択する。お客様が価値を理解し買うと
いう行動が生まれる仕組みづくりが、選ばれるために非常に重要だ」と強調。消費者の企業や店舗に対する信頼感が薄い時代だからこそ、「一度信頼されれば、お客様は全力で寄り添ってくる」と述べた。




講演要旨は次の通り
○人は価値に向かって行動する

実践会には、新型感染症禍の2020年4月、20時までの時短営業、酒類提供自粛でも、ほぼ売り上げを落とさなかったバーや、
前年比150%の売り上げを作ったレストランの会員がいる。人が商品を買いたくなるメカニズム、人や会社のファンになる時、
どのような心の変化が起きているのか、あるいはお客様は何が起こると離れていくのか。昨年からの原価の上昇、燃料費の高騰、
これから日本の商売環境は厳しさを増していく、こういった中でいかにしなやかで強くあるか。
 お客様から選ばれ、生き残るお店や会社となるためには価値創造型のビジネスに転換することをお勧めする。
中小企業やスモールビジネスは、価格(安さ)でなく価値創造型でないと生き残れない。
商圏人口800人、店舗面積45坪というの個人スーパーの会員は、スーパーを廃業し他業種へ転換することを決めて入会したものの、
価値創造を実践することで過去最高の売り上げを作った。同じ場所、同じ店、同じスタッフ、同じ経営者だが、安さ競争を止めて
価値創造で売るようにしたためだ。価値創造とは、お客様にとって価値あるものを正当な対価で売ること、人は安さに向かって
行動するようにできていない。人は価値に向かって行動するようにできている。これは東京でも過疎地でも変わらない。人は、何
とかして価値あるものに限られた時間とお金を使いたい。そうすると絶対に買わなければならないものと、どうしても買いたいもの
を求め、真ん中は求めない。中小企業やスモールビジネスは価値を創造し、自分にとって大切なことに時間やお金を使いたい人に
選ばれることが大切。
 あなたの店や会社では、商品が入荷してきたら棚に並べ、プライスカードを付けておいておくだけで終わっていないか?大事なの
は、何を言えばお客様の心が動き、買うという行動が生まれるか考えることだ。
 あるメーカーが同社の技術の粋を結集し発売した床材は、通常の6倍の価格でまったく売れなかったが、価値を伝える工夫した
ことで今や会社のドル箱となっている。勝負は6倍の価値が伝わるかどうか。メーカー側はスペックを語りたがるのが人情だが、
お客様にとっての価値を語らなければならない。このメーカーでは、サンプルの大きさを畳二畳ほどにして歩けるようにしたり、
床材となる木材の物語を伝えた。
 お客様は価値がわからなくても買わなければ生きていけないものを買う場合、一番安いものを選択する。価値が分かれば買いたい
という人が増える。「買う」という行動が生まれる仕組みづくりが選ばれるために非常に重要だ。

○お客様との絆づくり

 自社、自店にとってよいお客様としっかりつながること。ある程度の売り上げが読めるくらいの「ストック顧客」を確保すること
こそが収益の基盤である。しかしながら、今日、買ってくれたお客様のうち、誰がストック顧客なのかわからない店がほとんど。
いつも確実にリピートしてくれる人は何人か、半年ぐらい来ていな人は何人はわからないということは、ストック型になっていない
ということ。大至急ストック型ビジネスに転換することをお勧めする。
ストック型ビジネスに不可欠なのが「顧客化」。顧客とは、あなたの店や会社に愛着を持っている方、信頼を寄せている方、
共感を抱いている方。絆のあるお客様だけが安定的にリピートする。今の日本は、消費者が企業を信頼していない低信頼社会。
この社会背景もあって、お客様はこの会社、店は信頼できるとなった途端に全力で寄り添ってくる。これから社会がさらに混迷
していけば、より一層、重要となる。
 BtoBでも、請求書の封筒にメッセージを添えるなど、ささやかでもさまざまなコミュニケーションを図る事で絆が生まれる。
効率化の名の下にビジネスから人間味が無くなっているが、ビジネスは人と人の織り成すもの。絆があるお客様は高い価格を受容する。
ある紙問屋は、価格と納期で勝負していたが、お客様との絆づくりによって、ある程度、売り上げが読めるようなった。商品で差別化
はできていないが、会社で差異化することで選ばれるようになり、価格や納期で無理を言われなくなった。


○値上げの時行いがちな三つの失敗。

 値上げというのはただ価格を上げるのでなく自社の提供する商品やサービスの価値を見直して、正当な対価を付け直すこと。価値で勝負
する場合、価格を守るために価値を落としては本末転倒。価格は価値に従う。どうすれば値上げできるかを考えるより、いかに価値を伝える
かを考えて正当な対価をいただくことだ。そして、価値を理解して買い続けてくれるストック顧客を、次期の売上が読めるくらいの数、
育てること。お客様は本当に自分で買うべきものを知らない。お客様がなぜ買いに来たのかを聞いて、本当に買うべきものを教える。育っ
てきたお客様は非常にスムーズに値上げを受け入れてくれる。ストック顧客こそ収益の源泉、何人、何社、保持していれば収益を保持できる
か、足りないなら増やさなければならない。

○集合知に乗る

 早く成果を出すために非常に効果的なことはみんなでやること。学術的に言うと「集合知に乗る」。地域の商売仲間が集まる商工会議所
の重要性は、商工会議所が発足した時代以上に増している。同じ目的や同じことを学ぶ集まりを大切にしてもらいたい。
ある研究では1人でやる場合と、集合知に乗る場合を比べると、1人でやる場合は10倍の努力が必要と言われている。

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