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「2024年度の内外経済動向を占う」【金融部会時局講演会】

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マイナス金利政策、解除を予測

当所金融部会は3月5日、元日本銀行金融機構局審議役(金融高度化センター長)で、現SBIHD顧問、SBIネオフィナンシャルサービス専務執行役員の竹内淳一郎氏を講師に時局講演会「2024年度の内外経済記入動向を占う〜金融政策の転換も含めて〜」を開催。市内金融機関の関係者を中心に40人ほどが参集した。

竹内氏

竹内氏は、日本銀行の金融政策や金利、賃金、雇用環境、株価などの各種統計を鑑みながら、「最近の日銀からの情報発信を見ていると、マイナス金利政策を解除するのでないか。3月の政策決定会合で解除する可能性もあるが、4月1日の短観発表後となるのでないか」と予測した。マイナス金利は日本銀行にとって象徴的で「2016年から7年続けている政策を解除するからには、『デフレ脱却宣言』ともいえる。そうすると株式市場は沸き立つと思われる。企業の借入残高・支払利息は抑制されており、支払利息はバブル期の1/6程度。経済成長率1%程度で、金利を少し上げても景気はビクともしないし、政府としてもこれ以上の円安を容認できないだろう」と述べた。各国の主要中央銀行が利上に舵を切る中で、マイナス金利政策をとったことが円安の要因の一つとされており、日本銀行が金利引上の方向性を示した後も「粘り強い円安」が進んでいること、日本銀行でマイナス金利政策以外の政策の正常化が進められてきたといい、「あとはマイナス金利解除のカードを切るだけ」というほど機は熟している。消費を動かすために必要な期待成長率を引き上げる意味でも、解除のタイミングに注目される。新年度の国内経済については「日本経済は世界経済の調子が良い時、相対的に弱い。世界経済が沈み込むとき存外に強いのが傾向。2024年度は海外を中心に経済は少し下り坂になるため、相対的にこの国の経済が浮かび上がってくることが想定される」。日本の景気の特徴を「国内の要因で景気が崩れることはまずない、家計は景気が良くても悪くても同じ消費をする。企業は内部留保を持っているので多少景気が悪くてもバッファ(余裕)がある。国内経済は可もなく不可もなし、景気悪化の要因は海外にあり、今年のリスクは各地での紛争・戦争とトランプ」と述べた。

政府が国民に投資を促す背景については「多くの人が100歳まで生き、子どもが減っているとなると、極端な話、外国の株を買ってくださいということ。海外の企業が成長すれば、それが将来の生活資金になる。自国だけでは税金だけでは難しいので、海外の所得を取り込むことをお願いしている。それは間違っていないが、史上最高値を付けた反動もあり、株価は下がることが心配」と解説していた。

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