10年後の現場へ!実学が導く“創造する技術者”の時代 ―技と知の融合、作るから“価値を創る”―
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若者の存在こそが持続可能性
当所通常議員総会に合わせて、三条市立大学のアハメド・シャハリアル学長が 「10年後の現場へ!実学が導く“創造する技術者”の時代―技と知の融合、作る から“価値を創る”―」の演題で講演した。シャハリアル学長は今年度、三条市 立大学が初めて送り出した卒業生のうち就職希望の59人中8人が燕三条地域 (県内25人)、34人が県外に就職した実績に触れ、「燕三条地域からの入学 者は1人であり、8人が燕三条地域に就職した実績は決して少なくない。あえ て何の誘導も行わなかったが、この数字が少ないということであれば各自治体 とさらに連携し、前向きな方向へ向かわせることができる」と述べた。 人口減少の時代にあって「若者の存在そのものが持続可能性であり、若者が居 心地のよいまちこそが、持続可能性の高いまちづくり。学生の8割が地域外か らやってくる三条市立大学は、ある種の魅力を作り出せたということだ」と、 同大学の方向性に確信と自信を見出している。 三条市立大学は「若者の転出抑制」を所期の目的の一つとして開学した。 シャハリアル学長は「大学の開学はゴールではなく、連続した取り組みが必要。 地域内外の中学生、小学生、幼稚園児まで三条市立大学で学ぶことに憧れを抱 いてもらえるようインパクトを与え続けなければならない。この地道な取り組 みが実った時、三条市立大学は唯一無二の存在となる」と、地元出身者の入学 を促す取り組みも重要視している。
知能の民主化時代に価値を創造する
同大学が目指す人材像「イノベーティブテクノロジスト」については、AIなど の技術発達により現代は「拡張知能時代。高度なデータ分析やプログラミング、 デザインなど、ごく一部の人、特別なスキルを持った人だけが可能だったこと が多くの人に可能となる知能の民主化の時代が到来した。ただ、生成AIは100% のうち、97%の結果を出してくれるが、残りは3%が私たちのセンスとなる。 この3%が非常に大切になる」と強調。大学と地元企業で学び、学問と実学を 兼ね備えた「技術力と創造力を兼ね備え、既存の枠組みにとらわれず、新たな価値 を創出する人材」こそが、知能の民主化時代に価値を創造できるとした。