【飲食・サービス業部会】極限の南極から学ぶ食品ロス削減の知恵 元観測隊調理隊員・渡貫淳子氏が講演
研修会・セミナー
当所飲食・サービス業部会は9月15日、三条ロイヤルホテルで、元南極地域観測隊調理隊員の渡貫淳子氏を講師に 迎え、「フードロス削減への取り組み」をテーマとしたセミナーを開催した。当日は部会員を中心に27社32名が参 加し、環境配慮と飲食・サービス業におけるコスト削減・経営改善を両立させる実践的な知恵に熱心に耳を傾けた。 渡貫氏は冒頭、地球上で最も空気が汚染されていない南極の環境と観測の意義に触れ、普段意識せずに自動車に乗り 食事をする日常生活がいかに地球へ負荷をかけているかを指摘した。その上で、第57次南極地域観測隊の調理隊員と して過ごした生活の実情を紹介。隊員のストレス緩和のため日本での日常生活と変わらない食事が提供されたものの、 食材の補給は年に1回に限られるなど厳しい制約下にあったと明かした。例えば、生野菜は大変貴重で、長持ちさせる ため切り口に石灰を塗ったキャベツを7カ月間利用し、水耕栽培、冷凍野菜も活用した。また、季節の移ろいを感じら れない過酷な環境だからこそ、おせち料理や餅、流しそうめんといった行事食を提供し、お腹だけでなく「心を満たす こと」を重視したエピソードを語った。![]()
南極観測隊の生活では、造水トラブルによる水不足のリスクに加え、発生したごみは原則すべて日本へ持ち帰る。汁 物の残りもシンクには流せず、乾燥・焼却して灰をドラム缶に詰めて持ち帰る必要があるため、処理担当者の負担を軽 減しようと、残った料理をリメイクする調理を徹底したと説明した。その中で生まれたのが、「悪魔のおにぎり」。 調理で余った天かす、甘辛いタレ、あおさのりを混ぜて夜食に提供したところ、隊員の間で評判となり、メディアでの 紹介を経て大手コンビニで商品化。発売1カ月で500万個を売り上げる大ヒットとなり、売上の一部が南極観測へ寄付さ れたという秘話を披露した。 講演の後半では、日常や店舗で実践できる食品ロス削減策を提案。家庭から出る食品ロスの大半が直接廃棄(43%)や 食べ残し(41%)である現状を踏まえ、消費期限と賞味期限の正しい理解やフードドライブの活用、野菜の皮・根・芯 の利用を促した。また、地産地消による流通負荷の低減、摘果リンゴや栗など未利用食材のアップサイクル、宴会時の 「3010運動」、テイクアウトの推進など、具体的な取り組みを呼びかけた。 会場では南極の氷を使った流しそうめんやオーロラなどの貴重な写真・映像も上映され、参加者は食材を大切に使う意 識と食のありがたさを再認識した

